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HOT!タール通信 Ancient future vol.15 【SEKAIJU】 Written by Shiryu


 「フレームドラムはシャーマンの乗り物」といいます。
 フレームドラム(ハンドドラム)は世界中でみることができます。世界的に同時に
発生したか、どこかで生まれて広まっていったか、とにもかくにもシャーマンがいる
ところにはフレームドラムが存在し、逆にフレームドラムなきところにはシャーマン
は存在しないと言ってもいいほどに密接な関係があります。

 世界樹、これまた世界中で見られる考え方。これも原型(アーキタイプ)
として考えるのが自然なのでしょうか? 
 世界樹とは、宇宙の中心にあって地中深く根を伸ばし、天高く枝を広げ、天と地と
を結びつける巨大な樹木で、周期的に再生して創造を繰り返す宇宙の全体像を表現す
る存在です。宇宙樹(Cosmic Tree)、あるいは生命の樹(Tree of Life)とも呼ば
れます。
 また、巨木ではなく、山や岩など、地上から天高く聳え立つ存在として表現されて
いる場合もありますが、この場合も宇宙の中心を支える存在という概念は同じであ
り、宇宙軸・世界軸として包括できるものです。
 世界樹の典型的な例が、北欧神話『エッダ』のイグドラシル(ユグドラシル)。宇
宙の中心で九層の世界を貫き、その根元の泉の水がその樹を若返らせ、オーディンに
知恵を与えた。アメリカ・ナヴォホ族の世界樹は一本の葦で、四つの地下世界を貫き
地上に伸びている。人間はその中心を通って地上へ、さらに上の世界へと昇り続け
る。また彼らの砂絵に描かれた巨大なトウモロコシの中心には、恵みの道が通ってお
り、双子の文化英雄はここを昇って太陽の家に至り、砂絵の聖なる知識を得て地上へ
戻るという。
アメリカインディアンの世界樹では、葦やトウモロコシなどの植物の姿をしており、
それは地下世界と地上世界、そして天界を結ぶ役割を果たしている。
 日本でも天の御柱など類似のものが見られます。

 フレームドラム、シャーマン、世界樹と話があっちこっちに行っているようです
が、じつはこれらは無関係ではありません。
 シャーマンは明晰夢・透視・遠隔受信・身体離脱などの各種能力をマスターした
人々を指し、このような状態に意識的に入っていき、そこで得た情報を現実の世界に
持ち帰れるようになった人だと考えられます。シャーマンはヒーラー(治療師)でも
あり、天候操作の儀式も司ります。精霊たちに働きかけて狩りの獲物を増やし、未来
を監視し、太古の時代にまで入り込むことができます。
 シャーマンにとって、もう一つの世界は木のような形をしており、これを世界樹と
呼んでいます(!)。シャーマンはドラムやガラガラを鳴らして補佐役の精霊の注意
を引くための歌を唄います。トランスが深まると魂は体からするりと抜け出し、世界
をひとっ飛びして宇宙の中心に立つ世界樹に到着します。そして登り始めます。葉
の茂る枝先に登っていくときには、目指しているのは宇宙の神を頂点とする天界で、
世界樹の根本の方に下っていくときは目指すは地下世界です。
 シベリアに住んでいる遊牧民エベンキ族のシャーマンの話がなかなか面白いので、
紹介してみます。このシャーマンの儀式は、この世と精霊の住む時を超えた世界を結
び、儀式の場とわかるよう細心の装飾が施された、丸いテントで行われるそうです。
テントの中央には大きなカラマツの木が据えられ、これが世界樹と見なされます。ド
ラムを叩き精霊の招詩の歌が唄われ(一節ごとに参加者全員でリズミカルに繰り返さ
れます)、やがて精霊が家を出てテントに近づいてくることが告げられます。ドラム
の音は和らぎ、歌にはうなり声や、口笛の音のような音、羽根が宙を切る音といった
精霊の音が混じるようになるといいます(『ドラムマジック』ミッキーハート)。

 さて、ここに記述されている歌に混じるうなり声や口笛のような音、羽根が宙を切
るといった精霊の音というのは一体何なのでしょうか? 『ドラムマジック』の中で
はことさらそのことに触れられたり、分析されてはいませんが、ドラムの音、リズミ
カルな歌、繰り返される、という記述から参加者の脳は同調化しシータ波がでている
ことが想像されます。また共鳴胴を持たないフレームドラムからは豊かな倍音が球形
に広がり、丸いテントという空間の中でうねっていることでしょう。そういう情景を
思い浮かべるとき、歌に混じるドラム以外の音、歌以外の音が「倍音がもたらす不思
議な音」であると考えるのは短絡的でしょうか? TARの倍音によるフルートのよう
な音男女のコーラス(場合によってはうなり声のようなものに聞こえる時もありま
す)を聞いたことのある紫龍としては、ここで言う精霊の音が「倍音がもたらす不思
議な音」に関して記述されたものであるのかもしれないと推察することは容易なこと
でした。
 やがて、ドラムは雷のように激しく鳴り響きはじめ、音の洪水がドッと解き放た
れ、全てのものがハミングしているような状態になるそうです。テントのポールも、
参加者のボタンも。
 この時、一体何が起きているのでしょうか? これについても詳細な記述がありま
せんが、ドラムが激しく鳴っているということは、様々な倍音も大音量でテント内で
鳴り響いていることでしょう。全ての物がハミングしているというのはどういうこと
でしょうか? 物にはそれぞれ固有の振動数があり、硬いものは高い固有振動数をも
ち、柔らかいものは低い固有振動数をもっています。例えば、あるコップは叩くと
「キーン」と高音が鳴り、ゴムがついたコップを叩くと「コン」と鳴ります。外部か
らある周波数(振動数)の振動を加えると、同じ周波数を持つ、より大きな振動が生
ずることがあります。この現象は共振現象と呼ばれています。共鳴胴や飾りを持たず
その音色が限定されないフレームドラムの振動(これまで見てきたように音とは振動
です)が周囲のものと共振したのでしょうか? 

 続きは次回。


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【タール通信AncientFuture INDEX】

(11/17/2004)


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